●医療法人英生会野幌病院 理念
患者の立場に則して地域に密着し、信頼され親しまれるかかりつけ医、
保健・福祉の推進を図ります。
●看護部理念
親しまれ信頼される看護を提供し、住み慣れた地域でその人らしい暮らしを
支援します。
●野幌病院身体拘束最小化宣言
患者さま一人ひとりの人権を尊重し、地域に根ざした病院づくりを目指し、
「身体拘束最小化」を宣言いたします。
1 いずれの身体拘束も否定します。
2 身体拘束とは何かを常に考えます。
3 身体拘束廃止の取り組みを継続するため、 ご質問等には随時対応いたします。
4 身体拘束ゼロを目指します。
5 身体拘束廃止を地域と連携し推進していくよう努力します。
身体拘束の対象となる具体的な行為
・自分で下りられないように、ベッドを柵で囲む
・点滴・経管栄養の管を抜かないように、または皮膚をかきむしらないように
手指の機能を制限するミトン型の手袋をつける
・車椅子やいすからずり落ちたり、立ち上がらないように、
Y字型抑制帯や腰ベルト、車椅子テーブルをつける
・脱衣やおむつ外しを制限するために、介護衣(つなぎ服)を着せる
・行為を落ち着かせるために、第一選択として向精神薬等を服薬させる
・自分の意思であけることができない居室等に隔離する
・言葉による制限をする
令和7年6月 野幌病院
院長 野呂三之
医療法人 英生会 野幌病院
1.身体拘束最小化に関する基本的な考え方
身体拘束は、患者様の自由を制限する事であり、尊厳ある生活を阻むものです。当院では、患者様の尊厳と主体性を尊重し、拘束を安易に正当化することなく、職員一人ひとりが拘束による身体的・精神的弊害を理解し、拘束廃止に向けた意識を持ち、緊急・やむを得ない場合を除き身体拘束をしない診療・看護の提供に努めます。
2.基本方針
1)身体拘束の原則禁止
当院においては、患者又はほかの患者等の生命又は身体を保護するため緊急やむを得ない
場合を除き、身体拘束を行わない。
2)身体拘束の定義
「衣類または綿入り帯などを使用して、一時的に当該患者の身体を拘束し、その運動を抑制
することを言う」
3)当院での身体拘束の対象となる具体的な行為
①徘徊しないように車椅子や椅子、ベッドに体幹や四肢をひも等で縛る。
②転落しないように、ベッドに体幹や四肢をひも等で縛る。
③自分で降りられないように、ベッドを柵で囲む。
④点滴・経管栄養等のチューブを抜かないように四肢をひもで縛る。
⑤点滴・経管栄養等のチューブを抜かないように又は皮膚をかきむしらないように、手指の
機能を制限するミトン型の手袋などをつける。
⑥椅子や車椅子からずり落ちたり、立ち上がったりしないように、Y字型抑制帯や腰ベルト、
車椅子テーブルを付ける。
⑦立ち上がる能力のある人の立ち上がりを妨げるような椅子を使用する
⑧脱衣やおむつ外しを制限するために、介護衣を着せる。
⑨他人への迷惑行為を防ぐために、ベッドなどに体幹や四肢をひもで縛る。
⑩自分の意志で開けることのできない居室等に隔離する。
※上記以外に患者の行動抑制にあたる行為
・ドラッグロック~行動を落ち着かせるために、向精神薬を過剰に服用させる。
・スピーチロック~言葉による制限をする。
4)やむを得ず身体拘束を行う場合
①適応
・患者本人又は他の患者等の生命及び身体を保護する。
・緊急やむを得ない場合(一時的に発生する突発事故等)
②適応時の要件
・切迫性:本人又は他の患者の生命又は身体が、危険にさらされる可能性が著しく高い。
・非代替性:身体拘束やその他の行動制限を行う以外に代替する方法がない。
・一時性:身体拘束その他の行動制限が一時的である。
本人又はほかの患者の生命又は身体を保護するための措置として,緊急やむを得ず身体拘束を行う場合は、複数人で十分に検討を行い,身体拘束による心身の損害よりも,拘束をしないリスクの方が高い場合で、切迫性・非代替性・一時性の3要件全てを満たした場合のみ,本人・家族のへの説明同意を得て行います。
また身体拘束を行った場合は、その態様及び時間、その際の患者の心身の状況並びに緊急やむを得ない理由を記録する。またチームでのラウンドを行い、カンファレンスで身体拘束解除に向けた検討を行います。
3.身体拘束最小化のための組織体制
1)設置
野幌病院は、身体拘束最小化を目的として、身体拘束最小化チームを設置する。
拘束最小化委員会で最小化のための検討を行う。
2)開催
拘束最小化委員会は、毎月第3火曜日に開催し,次のことを検討協議する。
1.身体拘束等に関する指針及びマニュアル等の見直し
2.各部署からの報告及び検討
3.事例に対する相談や報告、その他委員会が議題として適当と考えられた事項等
4.研修が効果的なものになるよう企画し、評価する。
5.拘束最小化委員会の議事要旨等を安全管理委員会に報告を行い、管理者を含む職員に周知徹底する。
3)身体拘束最小化チーム構成員
①委員長:病院長(専任医師)
②副委員長:看護部長
③議長:老人看護専門看護師(専任看護師)
④副議長:一般病棟副師長
⑤委員:療養病棟看護師、一般病棟看護師、外来看護師、ケアワーカー
薬剤師、理学療法士、栄養士、放射線技師、医事課職員、総務課職員
4.身体拘束最小化のための職員教育
入院患者に携わるすべての職員に対して,身体拘束廃止と人権を尊重したケアの励行を
図るために以下の職員教育を行う.
1)現任者には,定期的(年2回)に「身体拘束最小化研修」を実施する.
2)新規採用者には,入職時に「身体拘束最小化」についてオリエンテーションを行う.
3)その他必要な教育・研修を実施する.
5.鎮静を目的とした薬物の適正使用について
せん妄及び認知症がある場合BPSDの発現には身体的・環境的要因の関与があり、第一選択
は非薬物療法が原則とされている。
その効果が十分でない場合、薬物療法を考慮する。向精神薬を投与する際は、より慎重なアセ
スメントとモニタリングが必要である。過剰な服用により、精神的・身体的な機能が低下し、廃用
症候群や、さらにせん妄の症状が出る可能性を十分考慮すること。
1)薬物療法(主に向精神薬)を用いる目的について、主治医から本人あるいは介護者・家族に十分に説明し同意を得る必要がある。
2)投与時は効果や副作用の観察を行う事。歩行障害、嚥下障害、過鎮静等の副作用が見られた場合は、速やかに医師に報告し、薬の減量や中止を検討すること。
観察を行うポイントは、日中の過ごし方の変化、パーキンソン症状の有無、夜間の睡眠状態
転倒リスク、服薬状況、食事摂取状況、昼間の覚醒状況や眠気の程度である。
3)向精神薬については、下記の副作用等の発現がないか使用時の注意点を確認する。
①抗不安薬:高齢者において副作用が発現しやすく、過鎮静、運動失調、転倒、認知機能低下のリスクが高まるため原則使用を避ける場合が多い。
②睡眠導入薬:ベンゾジアゼピン系睡眠薬が広く使用されてきたが、高齢者では副作用が
出現しやすいため安易な導入は避ける。非ベンゾジアゼピン系睡眠薬についてもベンゾジアゼピン系同様の副作用があるため、使用するときは少量投与にとどめ、漫然と使用しない。
③抗うつ薬:向精神薬のなかで転倒リスクが最も高いという報告がある。嘔気や下痢などの
消化器症状が副作用として現れることもあり、注意を要する。
④抗精神病薬:中等度から重度のBPSD、特に焦燥、興奮、攻撃性又は精神病症状の治療に使用する。低用量で開始し症状をみながら調整していくこと。主な副作用は眠気・ふらつき・過鎮静・嚥下障害。
6.身体拘束以外の患者の行動を制限する行為の最小化について
当院では,肢体不自由や体幹機能障害があり残存機能を活かすことができるよう,安定した
体位を保持するための工夫として実施する行為については,身体拘束等禁止の行為の対象
とはしない.
ただし,複数人で検討したうえで目的を明確にして,看護記録に記載する.
1)整形外科治療で用いるシーネ固定等
2)転落防止のための2点柵,3点柵の使用
3)点滴時のシーネ固定
4)自力座位を保持できない場合の車椅子ベルト
5)身体拘束をせずに患者を転倒や離院などのリスクから守る事故防止対策
(離床センサー等)
上記の行為についても,チーム内で定期的に評価を行い,できるだけ早期に解除するように 取り組む.
2024年 6月1日作成
2025年 5月20日改訂
2026年 4月21日改訂
医療法人英生会 野幌病院